布団が俺を呼んでいる

丘山大一のぶろぐ

続・初めてコミケ用同人誌を作った話

前回の続きです。

文章の完成度を高める

完成度を高める=推敲の作業です。
いくつかのアプローチがあります。

その1:著者による推敲
最も基本的なものです。
最初から最後まで通して行われます。

その2:著者同士による推敲
余裕ができれば、著者同士による推敲も行います。
ただし著者同士の推敲は(お互いに遠慮するのもあって)さほど大きな変更をもたらしません。

その3:編集によるチェック
「一冊の本」としてまとめる都合上、用語を統一したり、権利上問題がある表現や素材を使用していないか確認します。
編集は文章それ自体よりも、枝葉を気にしたものをチェックします。

その4:読者によるチェック
最重要。
「そこそこ完成した文章」を「読んで」「見て」もらいます。
ここでいう「そこそこ完成した文章」とは、内容が最初から最後まで完結しているものを指します。
書きかけが無い、状態ということです(加筆する分にはよい)。
不思議なものなのですが、どんなにヒドイものでも、ヒドイ状態からちょっとずつ成長している姿を見ていると、最終的にボロボロであっても「最初に比べればだいぶよくなったよね」という結論に至りやすいです。
スパゲティコードをリファクタリングしていると、途中で多少クソコードが残ってしまっても「最初に比べればよくなったよね」という結論になりがちなのを想像していただければと思います。次にそのソースを見る人にとっては、やはりクソはクソなんですけどね。

あとは、読者に「同じ印刷物」を渡して読んでもらうことです。
(重要なのは「同じものを見てもらう」ことです。ちなみに、この方針はでがらし会では非常に強い反発を受けました。)
同じものを渡す理由は、同じものを見たときの感想、指摘事項を集めるためです。
違うものを渡しても違う感想が出てきてしまうのは当たり前なので、意味がないからです。
違うものを読んでいる場合は、(編集の中では)意図して「別物を読んだ」感想として取り扱うようにします。

また、一定周期で印刷しできる限り参加してもらい、なるべく複数回チェックしてもらうように……するつもりでしたが、スケジュール上無理でした。orz
編集の大敗北。

読者によるチェックでは、誤字・脱字等の枝葉より、「面白かった」「つまらない」「色がない」「読みづらい」「読みやすい」「ここの意味が分からない」「興味ない」等の感想が欲しいところです。また、できれば赤ペンなどで紙に書き込んでもらいましょう。
さらに期待されるのは、赤ペンによる読者同士の論争があればなおよしです。
論争がある=色々な読み方がある、色々な意見がある ということだからです。
そして、読者同士の論争をもたらすということは、それは
人に考えさせるよい文章か、
結論を出せていないダメな文章か、
どちらかになっている可能性があります。
それが著者に伝わればベストです。


何を読むか

著者、編集は書きかけのテキストでもなんでもOKです。
ただし、読者側が、そういった中間成果物を読むのはなるべく避けます。
最終的に、紙媒体としての同人誌になるならば、同サイズの紙に印刷したものを読みます。
最終的に、PDFとして出力するならば、PDFで読みます。

大切なのは、「最後にどうやって公開するか」に則ったものを読むことです。
時折、「最後は紙だけど、推敲中は画面で見るからいい」という人もいますが、それは大いなる間違いです。
開発現場の世界に例えるなら、受け入れテストするのに、デバッグで使っていたexeでテストしているようなものだからです。
同じものは作れなくても、「最終成果物と極力近いもの」をでテストすることが重要です。

Q:そうはいっても、画面に出ているものを印刷するのだから同じでは?
A:ぶっぶー

画面で出ているものと紙とでは、大きく異なります。
  • 文字サイズが、画面では拡大できるが紙ではできない = 読みやすさが異なる
  • 画数の多い文字が、印刷したらつぶれてしまって読めない = 印刷の精度の問題
  • 紙では常に見開きだが、画面ではそうとは限らない = 一度に目に入る情報量が違う
  • 紙では片面に画像、もう片面に文字という構成がとれるが、画面ではそうとは限らない = 一度に目に入る情報量が違う
  • 片面に画像、もう片面に文字となるはずが、印刷したら頁の都合上、めくった次の頁に分割されてしまった = 構成の問題
主にこれらが問題となります。
逆に、最終的に電子化するならば、なるだけ画面で見るべきです。


修正の要否の最終判断は「作家に任せる」

商業ではないので、編集の権限はそこまで強くありません。
ここまで、推敲の話をしてきましたが、修正するかどうかは各著者にお任せします。


お金の話をなるべくする

ここらでちょっと毛色の違った話をば。
何をやるにしてもそうなのですが、合同で実施する場合、お金は確実に揉めます。
同人誌についても、「利益を出すのが目標」「トントンになればいいや」「同人誌は赤字で当たり前」は人によって意見が分かれます。
同人誌で利益が出ると色々面倒なのですが、それでも「売る、ということは利益を出すこと」と考える人もいるわけです。
この辺りの意見は、各人バラバラでもいいのですが、「合同でやる時の方針」は早めに固めておく必要があります。
よって、折を見て費用、利益、各人の負担額を提示し、意思の統一を図っておきます。

次回に続く!


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