布団が俺を呼んでいる

丘山大一のぶろぐ

初めてコミケ用同人誌を作った話

昨年のC91用に、「でがらし会」として作成しました。
今回は編集としてのお話や考えを書いていきます。

経緯

「でがらし会」の代表が「技術書の同人誌作りたい」と突然言い始めたことが発端です。
私は文章を(好き勝手に)書くのが好きです。大学時代もちょいちょい仲間と冊子を作っていました。
なので、話を聞いたときも、いいんじゃないかな、と(書き手として)思っていました。
しかし技術書って書いたことないなー、何を書けばいいんだろうなー、とボンヤリ考えていた時、でがらし会代表である凡人のお言葉がありました。

代表:「編集をやって」
私:「え、やだ」

それ絶対面倒やんけ、と思い速攻で断った記憶がありますが、他に立候補者がでなかったので編集とあいなりました。


編集担当

さて、編集の最初の仕事は、「そもそも編集って何やるのさ」という自己定義です。
私の経験の中では、合同で本を作る際は
  • 代表者(発起人。この人の名前で出す。最終決定権保持者)
  • 会計(お金をとりしきる)
  • 編集長(本の設計、監督)
  • 編集担当(ページ調整や挿絵管理)
  • 印刷担当(印刷管理、コピーを大量にとる場合は力仕事もあり)
  • 読者(本の作成には直接参加しないが、文章を読んで意見を言う人)
等の役割・仕事があります。
ホンマモンの出版社ではないので、実際にはこれらを兼任しながら進めますが、注意点として、原稿を書く人は原稿を書くことのみに注力し、上記の役割・仕事には原稿が完成するまではなるべく関わらない/関わらせないようにします。
理由は幾つかありますが、重要なのは「作業を手伝っていたら原稿が完成しなかった」という事態を避けるためです。
わりとシャレにならないので。

ちょっと話はズレましたが、今回は「会計」「編集長」「編集担当」「印刷担当」を受け持とう、と決めました。
残った代表者は「凡人」。
読者は、「同人誌作成に直接参加していない勉強会のメンバ」を半強制的に巻き込むことにしました。
ただし、会計、つまりお金は揉め事の原因となります。特に一人でコレをやってしまうと透明性に欠け、後々に禍根を残しかねません。
よって、費用としてあつかうものについては、代表を確実に通すことにしました(権限の一部を放棄)。
どちらかといえば、
  • 「決定権が強い代表が暴走するのを防ぐために、お金についての決定権は会計が持つ」
  • 「会計は主と副の両方を置く。二人置いて監視できるようにする」
  • 「主は通帳を持ち、副が判子を持つ。コレにより、多額のお金の使い込みを防ぐ」
方が組織としてはよいのですが、今回はコレの逆をした、ということになります。
口座も作ってなかったしw


計画

まず大ざっぱなスケジュールを組みました。
  • 11月上旬:原稿中間〆切。方向性を固める。
  • 12月上旬:原稿〆切
  • 12月中旬:(そこそこ安く仕上げるための)印刷所〆切
  • 12月29日:C91当日
12月の予定は、C91及び印刷所の〆切からおおよそ逆算で決められます。
極端な話、スケジュールといっても、実は12月中の予定さえ組めればあとはどうにでもなります。
が、それは「印刷担当」の話。
「編集長」が決めなければならないのは、実は中間〆切だと私は考えています。


中間〆切の意義

関係者が少なく、またその組織内での本づくりのノウハウが溜まっている場合はいいのですが、今回のように関係者が多く、ノウハウが無い、しかも文章を書くのに慣れていない人が多い場合は、原稿の中間〆切をやや早めに設定しておく必要があります。


理由1:原稿未完成を防ぐ

原稿を完成させる。これには想像以上の労力と時間がいります。
が、これが大抵の場合、驚くほど小さく見積もられます。普段「こんなスケジュールと工数見積もりで上手くいくわけないだろ、PMはバカか」というような人でも、なぜか自分の書く原稿は「いけるいける」と勘違いします(経験者談)。

小説でも解説でもそうなのですが、大抵の場合は
  • 書く内容を決める
  • 全体の構成を決める
  • 書いていく
の順番に進みます。


……………………
………………
…………

すいません、ウソつきました。
こんな風には進みません。


大抵の場合は
  • 書く内容を決める
  • 全体の構成を決める
  • 完成系を妄想する
  • 妄想で満足して書かない
の順番に進み、見事に停滞します。
厄介なのが、「全体の構成を決める」というところ。
コレができてしまうと「後は埋めるだけや!」という気分になります(経験者談)。
実際にはその「埋める」作業が一番つらいはずなのですが。なぜだ。

そんなこんなで、企画開始直後に一気に構成まで練り上げた後、〆切一週間前になるまで停滞することが多いです。
そして〆切一週間前に書き始めた後、

「なんか書きたかった内容と違う風になっているな?」
「ん? 軽く読み直してみたら、構成に矛盾があるぞ?」
「あれ、3時間使って書いたのに全然進んでない……」

となります(経験者談)。
場合によっては原稿を書くが億劫になってきて、「気分転換にゲーム」、「旅に出ます」とか言い出す人もいます。
それでも大抵は書き上げてくれるのですが、まれにそのまま原稿を落とす人がいます。

かくして、慌てて書かれ、中間〆切直前に提出された原稿は、妙に浮ついた、誤字脱字が多いものとなります。
これを補正する時間が、中間〆切~最終〆切の期間です。


理由2:本の方向性を早めに見極める

これは作者側ではなく、編集側の問題です。
今回の本は、わりと自由なテーマであり、どのような原稿が出てくるか予想がつきませんでした。
また、どのくらいの頁数になるかも分かりませんでした(※次回以降後述しますが、今回、ここで失敗しました)。

そもそも外部に出せないような内容を提出する人もいるかもしれませんし、
頁数が予定よりも少ない場合は、コピー本の方がよいかもしれません。
頁数が多い場合は分冊、あるいは話し合いや投票によって載せる原稿を早めに決めたいところです���

どの問題であっても、編集のノウハウと、ある程度の共通認識が編集-作家間でできあがっていればクリアできます。
が、両方ともなかったのでチキンな〆切としました。


理由3:読者の意見を原稿に反映させるための時間を作る

これは完成度に関する話です。
アプリケーションのバグは、テスターが多ければ多いほど潰せます。
また、改善提案もテスターが多いほど集められます。
本も一緒で、読者が多ければ多いほど誤字、脱字、誤りが見つかりますし、
感想、意見も集められます。

とはいっても、読者側の都合もあるので、読んでもらえるよう長めの時間をとります。
※できれば1度、全員集めて読み合わせをしたかったところですが、今回は叶いませんでした。


次回

今回はここまで。
ちょっと記事が長くなってしまったので、分割します。
次回もできるだけ早くあげたいと思います。




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